新刊書籍を紹介いたします。
- 『自然エネルギー革命をはじめよう―地域でつくるみんなの電力』
- 大月書店 2012年11月20日出版
- 著:高橋真樹(ノンフィクションライター)
- 飯田哲也さん(環境エネルギー政策研究所所長)推薦!
概要
東日本大震災とFIT制度の導入によって自然エネルギーが注目を浴びています。しかし本書で注目したのは、自然エネルギーの巨大な施設をつくる話ではありません。
単に原発のエネルギーを自然エネルギーにシフトすれば良いのではなく日本でエネルギーシフトを進めていくためには、規模だけでなく質の転換も必要との考えから、本書では地域に根付いて活動をしている様々な事例とそこに関わる人々の思いを取り上げました。
取材は2012年2月から9月にかけて、地域で自然エネルギーに取り組む全国30箇所、100名近くの方にインタビューを行ってまとめています。
1)風力や太陽光、省エネなどを活用して、地域に自然エネルギーを広めた人々の挑戦 2)世界で初めての自然エネルギーによる災害支援プロジェクト 3)3・11の震災のあとから全国で続々と起きている「あなたの町の電力会社」設立の動き
目次と各章内容紹介
目次 プロローグ あなたの町に電力会社をつくろう! 第Ⅰ章 地域でつくるみんなの電力 1.市民風車に風が吹く 2.「おひさまの町」から広がる太陽光革命 3.「省エネ」という発電所 第Ⅱ章 世界初!自然エネルギーによる災害支援 1.「太陽熱温水器」の底ヂカラ 2.太陽光おじさん、走る! 3.100年の森をつくりたい 第Ⅲ章 日本版「自然エネルギー革命」をはじめよう! 1.3・11後の「エネルギー・デモクラシー」 2.次世代のためのローカルビジネス 3.地熱大国ニッポン 4.市民電力会社をつくろう! あとがき 「日本」という仕組みを転換するために 付録 エネルギーシフトのために、あなたにできることリスト
1章 日本で市民発電事業を実施してきたパイオニアを追う
地域で市民と自治体が協力して自然エネルギーを広める先例があります。
北海道や東北の風車、長野県飯田市の太陽光、岡山県のESCO(省エネ)事業などでは、従来の補助金ではなく、市民出資などの新しい仕組みをつくって地域に自然エネルギーを広めてきました。「コミュニティ・パワー」という考えに基づき、地域が主体になる必要性を訴えます。
登場する主なグループや活動
「北海道グリーンファンド」の市民風車、「おひさま進歩エネルギー」の地域の太陽光発電、「備前グリーンエネルギー」の省エネ事業、日本初の「コミュニティパワー会議」など
2章 世界初の自然エネルギーを使った災害支援の実態
東日本大震災後、世界で初めて自然エネルギーによる災害支援
「つながりぬくもりプロジェクト」がはじまりました。そこでは、暗く寒い避難所に明かりや温水を届けるなど、自然エネルギーの能力が最大限に発揮されました。
東北での取材を中心に、日本では忘れられた存在になっていた太陽熱温水器の活躍や、「100年の森を育てる」バイオマスプロジェクトなどを紹介します。こうしたプロジェクトは、自然エネルギーの有効利用で「災害に強い街づくり」が実現できることを証明しています。
登場する主なグループや活動
「つながり・ぬくもりプロジェクト」による災害支援、「ぐるっ都地球温暖化対策地域協議会」の太陽熱温水器普及の取り組み、「自然エネルギー事業協同組合REXTA」による太陽光パネルワークショップ、「日本の森バイオマスネットワーク」による森林バイオマスと森の活用方法、東根工業高校の自然エネルギーによる国際貢献、エコハウス「雨デモ風デモハウス」など
3章 震災以降動きはじめた全国の自然エネルギーへの取り組み
震災以降動きはじめた全国の自然エネルギーへの取り組み企業、自治体、住民グループなど、2011年以降に動き始めたエネルギーを自らの手に取り戻すための様々な活動を追いました。また、原発推進一色に思える経済界でも脱原発について動き出している人たちもいます。そうした中小企業の取り組みも伝えています。
地熱発電では、これまで対立的になっていた温泉組合と協力して、地域にメリットのある形で発電する事業がスタートしています。これらの例も取り上げながら、一極集中の巨大システムから抜け出し、小規模分散型の自然エネルギー社会への転換へのうねりを伝えます。
登場する主なグループや活動
「藤野電力」、「なんば電力」、「小田原電力(仮称)」 「多摩市循環型エネルギー協議会」など地域で生まれたエネルギー事業、世田谷の自治体としての取り組み、「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」による経済界からの脱原発の声、熊本県小国町の地熱利用や地熱発電、長崎県小浜町の温泉発電、「九州・自然エネルギーネットワーク」、「えねぱそ」など